舌下免疫療法

舌下免疫療法とは?

アレルギー反応を引き起こす原因物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に取り入れて体を慣らしていき、アレルギー症状を軽くしたり、アレルギー体質を改善する治療です。その名の通り、アレルゲンを含んだ薬を舌の下に投与して、これを毎日継続していきます。

現在では以下の2つの治療が可能です。

  • スギ花粉症(商品名 シダキュア) シダキュア
  • ダニアレルギー性鼻炎
    (商品名 ミティキュア、アシテア) ミティキュア

シダキュア

ミティキュア


どんな効果があるの?

くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が軽くなり、生活の質が改善します。その結果、症状を抑えるための抗アレルギー薬(アレグラ、アレジオンなど)を減らせたり、無くせたりします。臨床試験では約8割の患者さんにこれらの効果がみられました。また、アレルギー体質そのものを改善するため、人によっては完治も期待できます
一方、一般的な抗アレルギー薬による内服治療は、すでに体内で起こっているアレルギー反応を弱めるものです。このため効果は限定的であり、体質そのものの改善にはつながりません。


治療した方が良いのは
どんな人?

スギ、ダニのアレルギーと診断された方のうち、以下に該当される場合は治療をご検討ください。

  • 抗アレルギー薬では十分に症状が抑えることができない方
  • 症状が強く、日常生活に支障がある方
  • 抗アレルギー薬の量を減らしたい方
  • 抗アレルギー薬の副作用(眠気など)に困っている方
  • 根本からアレルギーの治療を行いたい方

治療が開始できないのは
どんな人?

以下に該当する場合は舌下免疫療法を開始できません。

  • 重度の気管支喘息の方
  • 悪性腫瘍(がん)や免疫系の病気がある方
  • 治療に影響を与えうる薬(経口ステロイド薬、非選択的β遮断薬など)を飲んでいる方
  • 5歳未満の方(当院では中学生以上の患者様を対象としております)
  • 妊娠中もしくは近々妊娠希望の方

治療方法は?

薬は1日1回、舌の下に1~2分間保持したあと飲み込みます。その後5分間はうがい、飲食を控えてください。これを毎日継続し、3〜5年は治療を行います。

治療方法は?

*服用前後2時間の激しい運動、飲酒、入浴は避けましょう。副作用を生じにくくするためです。
*薬を飲む時間帯はできるだけ日中の明るい時間帯を推奨しています。万が一具合が悪くなったときに医療機関を受診しやすいためです。


治療スケジュールは?

以下のような流れで治療を行います。

1初回診察

初回診察診察と採血によるアレルギー検査を行い、舌下免疫療法の適応があるか判断します。他院で施行したアレルギー検査結果があれば、参考にできますので是非お持ちください。

2舌下免疫療法開始
(アレルゲンの初回投与)

診察時に疑問点や不安点について確認させていただきます。治療について納得いただけましたら、院内でアレルゲンの初回投与を行います。投与後、約30分間院内で経過をみさせていただきます(重いアレルギー反応が生じないことを確認するためです)。初回投与が問題なければ、2日目以降は自宅で内服を行っていただきます。

3定期受診

1か月に1回の定期受診となります。内服状況や副作用の有無などを確認します。


いつでも始められるの?

スギ花粉に対する舌下免疫療法は、スギ花粉の飛散時期(1月~5月)には開始できません。6月~12月に限られます。
ダニに対する舌下免疫療法は、季節に関係なく、いつでも開始可能です。


どんな副作用があるの?

口内炎、舌の下側の腫れ、口の中の腫れ、のどのかゆみ、耳のかゆみ、頭痛などの症状が出る場合があります。多くは治療開始1か月以内に現れ、治療を続けていくうちに自然に軽減していきます。抗アレルギー薬を併用することで症状を和らげることができます。

ごく稀にアナフィラキシー(呼吸困難、全身の蕁麻疹、血圧低下など)という重症の副作用が生ずる可能性があります。これは舌下錠使用後30分以内に生じることが多いため、初回投与は病院内で行い、30分程度の経過観察の時間をいただいています。


治療費用は?

舌下免疫療法は保険適応が認められています。3割負担の場合、患者様のご負担は1か月につき診察代と薬代を合わせて2500円~3000円程度となります。初回診察時には血液検査でアレルギーを調べるため別途4000円程度かかります。


よくある質問

舌下投与を忘れた翌日の投与法は?

忘れてしまった場合は、翌日の投与量を増やしたりせず、引き続き1日1回の投与としてください。

体調の悪い日の投与は?

発熱時や、体調不良時は投与をいったん中止し、体調が回復してから再開してください。短期間の中断であれば効果に影響はありません。

喘息症状が出たら?

喘息症状が出た場合は内服を中断して、医療機関を受診してください。

スギとダニ、同時に治療を行うことはできる?

同時に治療を行うことは可能です。ただし、はじめから2剤同時に開始することはできません。副作用が出た場合に、どちらの薬が原因なのか判断できなくなるからです。どちらか一方から開始し、薬が維持量になり安定したタイミングでもう一方を開始します。

妊娠中や授乳中の治療はできる?

すでに治療を開始して安定した状態であれば、妊娠中や授乳中の治療継続はご相談のもと可能です。妊娠中の新規の治療開始は、副作用などの点で安全面が確立できないため、行えません。