在宅酸素療法(HOT)

在宅酸素療法(HOT)って何?

肺が損傷すると、空気中から十分な酸素をとりこむことができなくなります。すると、特に動いた時に息苦しくなり、外出できない、身の回りのことが自分でできない、など生活の質が大きく低下します。また、全身に酸素が行きわたらないことで、様々な臓器がダメージを受け、最終的には命を失ってしまいます。そこで、肺の機能が一定レベル以下に低下してしまった患者さんには、酸素の吸入が必要です。
以前は入院でしか行うことができなかった酸素吸入ですが、現在は自宅で使用することができ、外出や旅行なども可能です。このような自宅で酸素吸入する治療のことを在宅酸素療法と言います。Home Oxygen Therapyの頭文字をとって、HOT(ホット)とも呼ばれます。


どういう患者さんが使うの?

どういう患者さんが使うの?肺の機能が低下し、血液中の酸素濃度が一定レベル以下に低下してしまった方が在宅酸素療法の適応となります。血液中の酸素濃度は、パルスオキシメーター(機器を指先に装着し、指に光を当てて酸素の状態を測定する機器です)で判定します。
肺の機能が低下する病気には、以下のようなものがあります。


どんな効果があるの?

在宅酸素療法を使うと、使わなかった場合と比べ、以下のメリットがあります。

  1. 心臓をはじめとする臓器の負担が減り、寿命がのびます
  2. 入院回数が減ります。(入院費などの経済的負担も少なくなります。)
  3. 息切れが楽になって活動範囲が広がります
  4. ご自身でできることが増えるため、ご家族の介護負担が少なくなります
  5. 携帯用酸素ボンベを使えば外出も可能になり、旅行や趣味を楽しめます
  6. 脳への酸素供給量が増え、集中力・記憶力・注意力が改善します

どういう装置なの?

在宅時

在宅時酸素濃縮器から送られる酸素を、チューブを通して吸入します。
酸素濃縮器は空気から酸素を濃縮する装置です。大きさは空気清浄機くらいで、電気で動きます。空気中には酸素が21%程度含まれていますが、これを90%まで濃縮し、チューブに送ります。このチューブを鼻にかけて酸素を吸入します。

外出時

外出時酸素濃縮器の代わりに、軽量の携帯用酸素ボンベを使用します。タイヤのついたカート、ショルダーバッグ、リュックなどで持ち運びます。自家用車はもちろん、公共交通機関(タクシー、バス、電車、船、飛行機など)にも酸素ボンベを持ち込むことができます
飛行機は事前手続きが必要です。主治医に相談の上、早めに航空会社に問い合わせてください。


在宅酸素療法をはじめるまでの流れ

診察

病気の状況、症状、血液中の酸素濃度を確認し、在宅酸素療法が患者さんにとってメリットがあるか評価します。

処方

最適な酸素量、吸入時間を、患者さんと相談の上で決定します。また、ご自宅で酸素療法を行う上での注意事項をご説明します。

機器の手配・配置

使用する酸素量に合わせた機器を手配します。酸素機器業者さんが、ご自宅に機器を届け、設置します。この際、電源の入れ方、酸素量の変更方法、外出時の酸素ボンベの使用方法、緊急時の連絡方法など、説明があります。

月1回の定期受診

保険で在宅酸素療法を行うため、1ヶ月に1回の受診が必要です。
受診時には、機器の使用状況、生活状況、呼吸の状態、病気の進行の有無、などを確認します。気になることがありましたら、何でもご質問ください。


在宅酸素療法の注意点は?

火気厳禁です。

火を近づけると火事になる恐れがあります。周囲2m以内に火(タバコ、ライター、ストーブ、ガスコンロ、仏壇のろうそく・線香など)を近づけないで下さい。また、在宅酸素療法を行うご本人・その御家族は、必ず禁煙してください。

決められた流量、吸入時間を守ってください。

酸素の流量・吸入時間は、患者さんごとに最適な条件を設定しています。自己判断で変更すると危険を伴うことがありますので、処方された流量・時間を守ってご使用ください。
とくに酸素流量の増量は、CO2ナルコーシスという意識障害をきたすことがあり、注意が必要です。


よくあるご質問

どれくらい費用がかかるの?

定期的に医師の診察を受けることによって健康保険が適応されます。
患者さんのご負担は以下の通りです。

1割負担の場合 毎月7,700円程度
2割負担の場合 毎月15,400円程度
3割負担の場合 毎月23,000円程度

高額療養費制度を利用することで、経済的負担を軽くできる可能性があります。
また、呼吸障害の程度によっては身体障害者手帳の申請ができます。認定の程度により、福祉器具のレンタル、交通機関の割引、税金の控除などを受けられることもあります。申請は比較的簡単ですので、ぜひお住まいの市区町村にお問い合わせください。

横浜市ホームページ(身体障害者手帳を申請する方へ):https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/fukushi-kaigo/fukushi/annai/techo/kofu/sintai.html

酸素をずっと吸っていたら、クセになったり、体が弱くなったりしないの?

酸素吸入を続けることで、酸素に依存する体質になったり、肺の機能が弱まることはありません。ご安心ください。

一度在宅酸素療法を始めたら、やめられないの?

残念ながら多くの病気では、いったん落ちてしまった呼吸の機能はもとに戻りません。このため、在宅酸素療法をやめると、再び息苦しさが生じて生活の質が下がったり、さまざまな臓器の障害が進行してしまいます。そこで、在宅酸素療法が必要なレベルまで呼吸機能が下がってしまった方は、在宅酸素療法を続けるようお勧めします。
一方、感染症や心不全が基礎疾患に合併し、一時的に呼吸の状態が悪化している方の場合には、治療によって呼吸状態が改善し、在宅酸素療法が不要となる方もいます。疑問をお持ちの方は、ぜひ呼吸器専門医に相談してみてください。

旅行したいときはどうするの?

全国の宿泊先に酸素濃縮器や酸素ボンベを届けることができます。出発の2週間前までには主治医に相談してください。
また、自家用車はもちろん、公共交通機関(タクシー、バス、電車、船、飛行機な)に酸素ボンベを持ち込むことができます。ただし、飛行機に関しましては、あらかじめ申請が必要ですので、早めに各航空機会社にお問い合わせください。