気胸

気胸ってどんな病気?

気胸ってどんな病気?肺の表面に穴が開き、空気が肺の外側に漏れてしまう病気です。穴が開いた肺は、パンクしたタイヤのようにしぼんでしまい、胸の痛み、咳、息苦しさが出現します。


どうして気胸になってしまうの?

外傷によって生じる気胸と、明らかな原因・きっかけがない自然気胸に分類されます。

外傷による気胸

外傷性気胸

交通事故や高所からの転落によって肋骨が折れ、肺に刺さることで生じます。

医原性気胸

病院で肩や胸に針を刺す検査・治療を行った際、肺が傷つくことで生じます。また、鍼治療中に肺を傷つけてしまい、気胸になることもあります。

自然気胸

原発性気胸

肺に病気を持たない方に起きる気胸です。肺の表面にできた、もろい風船のような袋(ブラ、ブレブと呼ばれます)が破裂し穴が空くことで気胸になります。この風船のような袋は、背が高く、痩せ型の、10〜30歳台の男性にできやすいと言われています。

続発性気胸

肺に病気を持つ方に起きる気胸です。COPD、肺がん、間質性肺炎、結核、非結核性抗酸菌症などの病気を持つ患者さんの肺は、もろくなっています。このため、何かしらのきっかけで簡単に肺に穴が空き、気胸になります。
女性の場合には、月経の前後に発生する特殊な気胸(月経随伴性気胸)の可能性もあります。子宮内膜症や人工妊娠中絶手術後の方では、子宮内膜の成分が血流にのって肺に移行することがあります。月経期にこの成分がはがれることで肺に穴があき、気胸を起こします。


どんな症状があるの?

多くは突然発症し、以下のような症状が出ます。

  • 胸や背中が痛い
  • 肩に違和感を感じる
  • 大きく息が吸えない感覚がある
  • 息苦しい
  • 咳が出る

あまり症状が目立たず、全く痛みを感じない人もいます。なんとなく胸が苦しい、なんとなく胸に違和感がある、といった場合にも、お気軽にご相談ください。


診断のために、どんな検査をするの?

レントゲンで肺が縮んでいることを確認します。軽度の気胸の場合には、レントゲンで診断できず、CT検査をして初めて診断に至ることもあります。
肺が膨らんで気胸が治ったら、CT検査を行います。CTでは肺の構造を細かく見ることができるため、肺に穴が空く原因となった病気がどこかに隠れていないか、詳しく調べることができます。


どんな治療をするの?

軽症の場合

しぼんだ肺の一番上の部分が鎖骨より上にある場合、気胸の重症度は「軽度」と診断されます。軽度気胸の多くは、数日間安静にしていれば自然に肺の穴がふさがり、しぼんだ肺はもとの大きさに戻ります。肺から漏れた空気も自然に体内に吸収されます。

中等症以上の場合

中等症以上の場合しぼんだ肺の一番上の部分が鎖骨より下にある場合、気胸の重症度は「中等度」以上と診断されます。
このような時には基本的に入院して治療する必要があります。局所麻酔をした後、皮膚を少し切ってチューブを胸の中に入れ、漏れた空気を体外に抜きます(胸腔ドレナージ)。この処置で肺が十分膨らまない場合や、気胸を何回も繰り返す場合には手術を行い、穴が空いた部分と、周囲のもろくなった肺を部分的に切除します。


気胸は予防できるの?

一度自然気胸になった方の再発率は、30-50%程度と報告されています。なぜ肺の表面にもろい風船状の袋(ブラ)ができるのか、不明な点がいまだ多いため、食事や生活習慣に関する予防法は分かっていません。
ただし、喫煙習慣のある方は禁煙が重要です。喫煙は肺に炎症を起こして破壊し、肺がもろくなってしまうからです。
また、複数回気胸を繰り返している方の場合、手術でブラを切除することにより、再発率を下げることができます。


気胸になったら運動できないの?

気胸が完治したら運動して構いません。ただし、スキューバダイビングは危険です。気圧変化を伴うため気胸が再発しやすく、潜水中に気胸が生じると命を落とす可能性が高いからです。


気胸になったら飛行機に乗らないほうが良いの?

飛行機の中は地上よりも気圧が低いため、体内の空気は膨張し、気胸が生じやすい環境です。このため気胸が完治していない場合には、飛行機に搭乗できません。
気胸が治った後、どれくらい時間が経過したら安全に飛行機に乗れるのか、明確な基準はありませんが、海外の報告をもとに治療後2-3週間で搭乗許可を出す病院が多いです。