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梅雨時期の喘息悪化について

関東甲信越もついに梅雨入りが発表されました。

季節の変わり目は体調を崩しやすい、という方は多いかと思いますが、喘息についても同様です。寒暖差や気圧差が大きくなる春や秋は、症状が悪化する喘息患者さんが増える傾向がみられます。また、気温や気圧差だけではなく、湿度の上昇によってカビやダニの発生が増える梅雨時期は、特に喘息が悪化しやすい時期でもあるので注意が必要です。

喘息患者さんの気道(空気の通り道)は、症状が無いときでも炎症によって粘膜が腫れています。肌で表現したら、赤くただれて、ヒリヒリとしているような状態です。このため、喘息患者さんの気道は外部からのちょっとした刺激に対しても過剰に反応してしまいます。特に寒暖差や、気圧の変化、カビやダニなどのアレルゲンは症状を悪化させる原因となります。最近なんとなく咳や痰が増えてきた、ゼイゼイする、などの不調がみられる場合、梅雨の気候が原因かもしれません。

ここで、梅雨時期の喘息悪化を防ぐ対策を紹介します。適切な対策を知り、症状の悪化や発作による入院を防ぎましょう。

  • ①部屋の湿度を保つ

湿度が70%を超えると、カビやダニが繁殖しやすい環境となります。エアコンや除湿器を使用して室内の湿度を適切に保つことで、カビやダニの発生を防ぎます。逆に、湿度が下がりすぎて乾燥している状態も、喘息患者さんの気道にとっては刺激となります。湿度は50~60%を目標に調節しましょう。

  • ②部屋を清潔に保つ

室内はこまめに換気をしましょう。換気によって空気の流れができることで、空気中に浮いている汚れやカビの胞子が定着するのを防ぎます。

梅雨時期はダニの繁殖期の初期にあたり、ダニの糞や死骸もアレルゲンとなりますので、床やカーペットはこまめに掃除機をかけましょう。寝具類は掃除機だけでなく、布団乾燥機の活用も有効です。

久しぶりにエアコンを付けるときは、掃除を行ってから使用しましょう。しばらく使用していないエアコンの内部にはカビが繁殖している可能性があり、掃除を行わずに運転することで、空気中にカビをまき散らしてしまう恐れがあるからです。

  • ③吸入薬をきちんと使用する

カビやダニの繁殖は、対策をすることによって抑えることができます。しかし、急な寒暖差や気圧差などは、喘息を悪化させる要因でありながら自分自身で回避することが難しいですよね。

吸入薬には気道の炎症を抑え、狭くなった気道を広げる効果があります。症状がある日もない日も、きちんと吸入薬を使用することで、寒暖差や気圧変化による刺激に対して強くなり、発作を防ぐ効果が期待できます。症状が落ち着いていると、「治った」と思い治療を中断し、その後に増悪してしまう患者さんが多くいます。このような増悪の発作を繰り返すうちに、難治性の喘息へと進行してしまうため、毎日の吸入管理をしっかりと行いましょう。

  • ④自分自身のアレルゲン(アレルギーの原因物質)について知る

症状の原因になるアレルゲンについて、血液検査で調べることができます。喘息やアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患は、血液中に含まれるIgE(アイジーイー)という物質を介して生じます。それぞれのアレルゲンごとのIgEの量を測定し、反応の強さを0~6の7段階でクラス分けすることで判定します。自分のアレルゲンを知り、悪化の原因をできる限り遠ざけるようにしましょう。

梅雨の時期は喘息の悪化だけではなく、自律神経のバランスが乱れることによって様々な不調(頭痛、疲れ、だるさ、食欲低下、気分の落ち込みやイライラ、など)を引き起こします。

呼吸器疾患に限らず、体調不良でお困りの際にはお気軽にご相談ください。